という、はなし 

という、はなし
読書する動物の絵と、本と読書に関する短い文章が次々に楽しめる「本の本」。特に好きな章について。

  • 夜行列車にて

ひっそりと、のんびりと。この願望にはとても共感できる。黒猫の如く万事に知らんぷりを決め込んで、夜行列車に飛び乗ってしまいたい。
そんな時、手元には1冊の本。闇を走る列車の車輪の音を聞きながら、とっておきの1冊を心ゆくまで読んでみたいものである。

夜行列車も灯台も実際に目にしたことは少ないが、訳もなく心惹かれる。本当に「行きつけの灯台」があったらいいなと思う。
海を見て潮風を味わい、空を見上げた後、ようやく深呼吸して本の表紙を開く。灯台のふもとに腰掛けての読書ははかどりそうだ。

  • 恋と発見

古本屋では本の輪廻転生が行われ、思いがけない出会い、再会ができる。古本屋の若き神様との会話が面白い。恋と発見と本、意外と似ているのか?
人は何かに恋して本を書くとのことだが、読み手も好きな作家を新たに見つけると、好きな人が出来た時に似た嬉しさがあるように思う。


誰であれ、静かに落ち着いて、本に視線を落とす姿はなんとなくいい。だから、この本の動物たちはよけい可愛く見えた。そんな絵に合わせて書かれた文章も良かった。