2007-08-01から1ヶ月間の記事一覧

 金髪の草原(文庫『四月怪談』収録)

意識が大学時代に戻ってしまった老人と、彼の家にヘルパーとしてやってきた少女。 少女の片恋のエピソードを挟みつつ、夢と現実が入り混じりながら物語は結末へ向かう。 老人という設定ながら、主人公?日暮里歩の外見は青年である。『夏の夜の獏』同様、意…

 金魚花火 / 大塚愛

しっとりしたメロディが印象的で、夏の終わりの雰囲気が漂う。実らない恋心を情景描写を交えて歌った曲。 美しいけれど儚い印象の歌である。 夏の夜、ほんのつかの間に想い人と花火を見ている情景を切り取った歌詞は、いかにもひと夏の短い恋を思わせる。 恋…

 ルキンフォー

ふわふわして時々ねじれたような音が、繰り返し聞くうちにくせになる。 ぼんやりとした春の憂いのような、独特のメロディラインである。少し切ないけれど、前を向いて進もうとする歌詞もいいなと思う。 「だめなことばかりで 折れそうになるけれど 風向きは…

 群青

夏らしい爽やかな歌。 シンプルなメロディが初期の「ヒバリのこころ」をちょっと思い出させる。 きれいで伸びのいい高音の声と、散文詩のような歌詞が聞いていて心地良い。 最初は、いい曲だけれどそれほど好きな感じの曲でもないな、カップリング(「夕焼け…

ヘヴン

戦争で文明が後退し、荒廃した世界が舞台の近未来SF。元軍人のマットと、彼女が出会った少年ロボット・ルークを中心とした物語。2はルーク誕生秘話。 遠藤作品では異色なほどシリアスかつ重く、考え込んでしまうエピソードや台詞が多い。 「いつまでも暴…

 きみはポラリス

「恋愛」をテーマにした短編集。 幸せカップルのほのぼのした物語もあるにはあるが、恋愛のややこしさを感じる物語も多い。特に好きな話について。 永遠に完成しない二通の手紙&永遠に続く手紙の最初の二文 前者は大学生「寺島」と「岡田」(長い付き合いの…

 月館の殺人(上・下) 

巧妙に伏線が張られ、かつ回収されていて、結末に唐突さはなく読み返しても納得がいく。 ただ、それだけに犯人推理の決め手になる出来事(詳しくは控えるがナイフ絡みの一件である)について、少々無理を感じるのが残念。 個人的にはメインストーリーより細…

 下鴨納涼古本市と秋の古本市

先日、下鴨神社の古本市を訪れた。 行く前に『夜は短し歩けよ乙女』(この古本市が舞台の章があり、描写がまた良い)を読んで気分が盛り上がり、実際に長く連なる出店を見た時はちょっとワクワクした。 糺の森の濃い緑と、古書店の紅白の布のコントラストが…

 Hello, my friend / 松任谷由実

夏の終わりに、過ぎ去った夏の日と友達を反芻しているような歌。しかしメロディや歌詞に耳を澄ましていると「君」が単なる友人ではなく、好きだった人でもあることに気付く。そう思うと、「もう二度と会えなくても 友達と呼ばせて」という歌詞がよけい切ない…

 ダ・ヴィンチ

「西原理恵子インタビュー」&「俺たちの森見登美彦大特集」に惹かれ購入。 「西原理恵子インタビュー」は絵本『百万回生きた猫』の魅力を語る、というもの。 長い年月をかけて読み返し、その度に印象が変わっていった思い入れ深い絵本であることがよく伝わ…

 森には真理が落ちている(『美貌の果実』収録)

カメである森の主様につまずき、自分もカメになった少女(雪村さん)。 目の前で見ていた同級生(氷室君)の家に連れられ、次第に二人は親しくなっていく。 親子間の血液型の組み合わせ云々に、生物の授業を思い出した。 氷室君の両親の過去は曖昧だが、色々…

 「恋は遠い日の花火ではない。」(SUNTORY)

というコピーのCMが少し前にあった。 部下らしいOLの意味深な言動に長塚京三氏演じる上司がちょっとドキドキするという、味のあるCMで好きだった。 でも放映当時は、このコピーの意味というか良さが本当にはわからなかった。 今はちょっとだけ分かるよ…

 Mirror (『深海』収録)

夕暮れの空へギター片手に歌う、「あなた」への「単純明快なラブソング」。 ややダークな『深海』では一番好きな曲でもある。誰かを思う気持ちが素朴に歌われていて心に響く。 「自分を見失う様なときは あなたが誰で何の為に生きてるか その謎が早く解ける…