ヘヴン


戦争で文明が後退し、荒廃した世界が舞台の近未来SF。元軍人のマットと、彼女が出会った少年ロボット・ルークを中心とした物語。2はルーク誕生秘話。


遠藤作品では異色なほどシリアスかつ重く、考え込んでしまうエピソードや台詞が多い。
「いつまでも暴力と悪意につきまとわれる この意味は何なんだ」
など、嫌なニュースを見た時などに時々思い出す。


「ムネ買ってくれ 普通よりやや大きめのやつ」
なんてルークが持ちかけたり(取り付けると性転換可能らしい)、それをマットが一蹴したりとコミカル?な場面もなくはないけれど。
ただ読後感は悪くなく、映画的な演出のためか、長い映画を見たような深みと味わいがある。


個人的には2がより印象的だった。
ルークのモデルとなったデイビーの不思議な魅力と、彼の最後はそれぞれ異なる意味で心に残る。


そしてデイビーの友人・ジョナサンの手でルークは作られるのだけれど、その結果を目の当たりにしたジョナサンの涙と、彼に対してかつてのデイビーと同じ言葉をかけるルークの姿にぐっときた。


その数年後?のルークに対するジョナサンの言葉も。
1で機能停止の危機に陥った際にルークが告白をはじめた理由と、マットという主人に出会ったことにどんな意味があったかがわかる。
2を読んだ後、1を読みなおすとさらに感動が深まると思う。