2007-01-01から1年間の記事一覧

 辺境・近境

「旅行は疲れるものであり、疲れない旅行は旅行ではない。」(引用)。 それでも旅を繰り返す村上氏による紀行文を集めた一冊。 目指すはモンゴル高原、瀬戸内海の無人島、ノモンハン、メキシコの町、アメリカ大陸、そして神戸など。 イースト・ハンプトンや…

 おいピータン!

食にまつわる人間模様を描いた、ほんわかした漫画。 読み終わったあとは大切な人と一緒においしいものを食べたくなる。 レギュラーの登場人物に加えて1話限りのゲストもあり、各話の主役は持ち回りのオムニバス形式である。 好きな話が多すぎて書ききれない…

 White christmas / Bing Crosby

街の其処彼処で、赤や緑で彩られた小物やイルミネーションを見るようになった。もうじきクリスマスだなあと思う。 そして毎年流れるクリスマスソングを聞くと、今年もそんな季節になったんだという気持ちと、どこか懐かしいような気持ちが入り混じる。 小さ…

 Na・de・Na・de ボーイ(『さざなみCD』収録)

骨太なギターサウンドに、たたみ掛けるように早口で語られる歌詞。 でも歌詞の内容はなんだか甘くて、恋の始まりの楽しくてハイな感じもする。 アルバムのなかでもタイトルから一番興味を惹かれたのがこの曲(なにしろnadenadeボーイ、どんな曲かと思った。…

 喫茶コレクション・鴨川デルタ・糺の森

皆、森見作品に縁の場所である。 「ダ・ヴィンチ」9月号掲載の京都マップを参考に、先日立ち寄ってみた。 すべて京阪出町柳駅から徒歩30分圏内だった。 喫茶コレクション 『四畳半神話体系』で主人公が夕食をとっていた店。 入り口が小さく、うっかり通り過…

 たとえば朝のバス停で (『4Flusher』収録)

昔の級友や先輩、恩師や元上司など、以前は毎日のように顔をあわせていたのに今は会うことも無い人たちは結構いる。 ときどき、あの人達はいったいどこに行ったんだろう?と思うことがある。 この歌はそんな「いつの間にか会わなくなった人達」への呟きのよ…

 野性時代 11月号

特集「最愛の一冊と至福の読書空間」がよかった。 タイトル通り数人の作家が、最愛の一冊とお気に入りの読書空間を写真つきで紹介している。 素敵だなと感じたのは、恩田陸氏。 照明の落とされた静かなホテルのバーで、本に目を落とす姿にちょっと憧れた。 …

 猫になりたい(『花鳥風月』収録)

ふわふわしたメロディに優しい歌詞に甘い声で、なんだか眠気を誘われる。 退屈だとか飽きるという訳ではなく、安心したりリラックスすると眠くなる感じ。 でも「消えないように 傷つけてあげるよ」なんてドキッとするフレーズもあるのがスピッツらしい気がす…

 サツキとメイの家

先日、モリコロパークにあるサツキとメイの家を訪れた。 思っていたより小ぢんまりしていたが、2階への階段にどんぐりが落ちていたり、細かい仕掛けが色々あって面白かった。「となりのトトロ」もかなり好きで、小学生の時見たため懐かしい作品でもあるのだ…

 時間旋律 / 柳原望

古い町並みが残る椿町では、夕暮れ時に過去の風景(=幽霊)が現れる。 陸上の特待生として町の高校にやってきた東野、彼が恋をした幽霊の少女・伽耶、少女の婚約者、東野に羨望を抱く陸上仲間の由郎…それぞれの思いが交錯するノスタルジックで優しい物語。 …

 夜のくもざる

シュールでナンセンス、独特のユーモアが光る短編集。1冊通して読んで、あまりのシュールさに頭がぐらぐらするのを楽しむも良し、束の間の息抜きや気分転換にいくつか選んで読むのも良しな一冊。特に好きな話を。 タイム・マシーン(あるいは幸運としての渡…

ランニングハイ

初めて聞いたとき、甲と乙の会話(自問自答?)で始まる歌詞に面白いなあと惹かれた。 全体的にも、ひねくれた感じや生々しさが結構前面に出ているように思う。 ふとした時に我に返る瞬間の描写も入っていて味を感じる。 「あれッ 俺ッ何してんだろ? … 太陽…

 始発列車 / ゆず (シングル『いつか』収録)

明け方の街で始発列車を待っている描写から始まり、歌詞は「君」とふたりでいた過去のイメージと、それを思い出す今の「ぼく」が入り混じる。 明るく軽快なメロディと裏腹に、なかなかに切ない。→歌詞全文はこちら 歌詞は全体的にいいなと思うけれど、 「言…

 有頂天家族

京都を舞台にした、狸と天狗と人間が入り乱れての化かしあったり食われたりの一大抗争。そして固く結ばれた狸一族の絆と、家族愛を描く。 老いらくの恋に身をやつした天狗、そのお相手の半天狗の美女、偉大だった父を失った狸四兄弟、ヅカファンで熱い母魂を…

 yom yom 2007年10月号

「ブンガク散歩に出よう」特集に惹かれ購入。 森見登美彦氏の「登美彦氏、京都をやや文学的にさまよう」が特によかった。 喫茶店「進々堂」の片隅にいる森見氏が、かつて読んだ文学作品や作家とゆかりの場所についてあれこれ回想するという内容。 梶井基次郎…

 ジュテーム?(『ハヤブサ』収録)

繊細なギターの音色と声の調和が、しみじみと味わい深いバラード。 静かな夜に、部屋で耳を澄ませて聞きたくなるような曲である。 こういうささやくような唄い方は、マサムネさんの声の良さが際立つなぁと思う。 「君がいるのは ステキなことだ やさしくなる…

 星がきれい / The Little Monsters Family

秋から冬にかけては、空気が澄んで月や星が綺麗に見えるという。 冷たい空気の中で、白い息を吐きながら夜空を見上げるとなんだか心がしんとするが、そんな時にふと聴きたくなる曲である。 どこかクリスマスを連想させるメロディ、ゆずのふたりの透明感のあ…

 コーヒータイム / 高橋和枝

淡くて柔らかい色彩のイラストと、穏やかな言葉たち。一息いれたいような時に、ふと手に取る絵本のひとつ。 コーヒーを飲みながら、登場人物がささいなことで今とつながる遠い日の記憶について、ひとつひとつ語る。 「ささいなこと」は、たとえば雨の日のア…

 お別れにむけて(『Family』収録)

ゆっくりとしたメロディに、ぽつりぽつりと呟く独り言のような歌詞。シンプルで淡々とした曲なのに、やけに切ない印象が残る。 タイトルはこれからの別れを連想させるが、すでに「ぼく」と「君」は別々の世界にいる。 「新しい世界」にいる「君」と、そこか…

 もちぐま

バスグッズを扱うお店で購入。 ちなみに『四畳半神話大系』でのキーアイテムであり、表紙にも描かれているスポンジ製のクマのぬいぐるみのことである。 作中の描写や森見氏のブログ写真に惹かれ、ほしいなあと思っていたので嬉しい。 さわったときのふにふに…

 ひみつの階段 / 紺野キタ

[rakuten:book:11056171:image] [rakuten:book:11110458:image] 女子校の古い校舎や寄宿舎で起こる、不思議な出来事を1話完結で描く。 可愛らしい絵柄と、心温まるストーリー展開がいい。特に好きな話を。 「物語をきかせて」 学校の不思議な現象や逸話を収…

 愛について

シンプルで温かい雰囲気のラブソング。日に日に空気が冷えて、澄んでいくような冬のはじめにはまる。 「ただ1つ 木枯らしに凍える日には かじかんだ手を温めてほしい」、冒頭からいいなと思う歌詞である。 この曲のイメージは、そのまま自分が思うところの…

 TVピープル

奇妙な味わいの短編。主人公の「僕」の部屋に侵入してきたTVピープル。彼らはいったい何なのか。得体の知れない不安感を煽るような怖さがある。(以下「」は引用) TVピープルの侵入を境に、「僕」の周囲に対する違和感が増えていき、一緒に暮らしている…

 金髪の草原(文庫『四月怪談』収録)

意識が大学時代に戻ってしまった老人と、彼の家にヘルパーとしてやってきた少女。 少女の片恋のエピソードを挟みつつ、夢と現実が入り混じりながら物語は結末へ向かう。 老人という設定ながら、主人公?日暮里歩の外見は青年である。『夏の夜の獏』同様、意…

 金魚花火 / 大塚愛

しっとりしたメロディが印象的で、夏の終わりの雰囲気が漂う。実らない恋心を情景描写を交えて歌った曲。 美しいけれど儚い印象の歌である。 夏の夜、ほんのつかの間に想い人と花火を見ている情景を切り取った歌詞は、いかにもひと夏の短い恋を思わせる。 恋…

 ルキンフォー

ふわふわして時々ねじれたような音が、繰り返し聞くうちにくせになる。 ぼんやりとした春の憂いのような、独特のメロディラインである。少し切ないけれど、前を向いて進もうとする歌詞もいいなと思う。 「だめなことばかりで 折れそうになるけれど 風向きは…

 群青

夏らしい爽やかな歌。 シンプルなメロディが初期の「ヒバリのこころ」をちょっと思い出させる。 きれいで伸びのいい高音の声と、散文詩のような歌詞が聞いていて心地良い。 最初は、いい曲だけれどそれほど好きな感じの曲でもないな、カップリング(「夕焼け…

ヘヴン

戦争で文明が後退し、荒廃した世界が舞台の近未来SF。元軍人のマットと、彼女が出会った少年ロボット・ルークを中心とした物語。2はルーク誕生秘話。 遠藤作品では異色なほどシリアスかつ重く、考え込んでしまうエピソードや台詞が多い。 「いつまでも暴…

 きみはポラリス

「恋愛」をテーマにした短編集。 幸せカップルのほのぼのした物語もあるにはあるが、恋愛のややこしさを感じる物語も多い。特に好きな話について。 永遠に完成しない二通の手紙&永遠に続く手紙の最初の二文 前者は大学生「寺島」と「岡田」(長い付き合いの…

 月館の殺人(上・下) 

巧妙に伏線が張られ、かつ回収されていて、結末に唐突さはなく読み返しても納得がいく。 ただ、それだけに犯人推理の決め手になる出来事(詳しくは控えるがナイフ絡みの一件である)について、少々無理を感じるのが残念。 個人的にはメインストーリーより細…