聖☆おにいさん / 中村光

聖☆おにいさん(1) (モーニング KC)
ブッダとイエスが下界にバカンスへやってきて、立川のアパートでルームシェアしている、というシュールな設定のコメディ。


言わずと知れた聖人2人だが、この作品ではTシャツにジーパン姿、髪型以外は一見フツーのお兄さんである。
下界にもすっかりなじみ、毎日ブログを更新したり、PS3や新しいノートPCが欲しかったり、秋葉原や夢の国に遊びに行ったり、炊飯器にこだわったり、mixiをやったりしている。そうした身近で生活感あふれるネタとのミスマッチさが妙に可笑しい。


また彼らならではの伝記・宗教的エピソードや格言を元にしたギャグも笑える。ただ最初に読んだ時は、元ネタが分からないものも半分位あったが(ex.3度も私を知らないと言ったなー!)。
しかし仏教orキリスト教の敬虔な信者でもない私にも半分は元ネタが分かったので、マニアックではないと思う。


設定はインパクト大ながら、作品全体はギャグ漫画にしてはテンション低め。
また穏和で大真面目なイエスブッダがおりなす、ツッコミの弱いボケ(たまにボケっぱなし)による笑いは、人によっては物足りないかもしれない。
しかし個人的には来月発売の3巻が待ちきれないくらいハマった。


微妙な題材を笑いに転化させつつ、ほのぼのとした雰囲気もあるところが良い。
あともうひとつ、この2人の愛すべきキャラクターもなかなか。宗教画や偶像を見る目が変わりそうである。
ちなみにもっといい感じに自分を描いてほしい、という2人の希望がナナメにそれて、ついに「これは選挙ポスターだね…」となるくだりにも笑ってしまった。

 図書館ねこ その3+図書館いぬ

以前、図書館ねこデューイ君の記事と伝記を取り上げたが、学校図書館にもそんな猫(と犬)がいるらしい。


ただしアメリカの話。カレントアウェアネスの記事参照↓
http://current.ndl.go.jp/node/9636 
なお上の記事中に、米国のSchool Library Journal誌へのリンクもあったのでそちらも引用。その犬や猫の写真が見られる。
http://www.schoollibraryjournal.com/article/CA6617815.html


真ん中の子供2人に抱きつかれ、頬ずりされてる黒猫のやや憮然とした顔に笑ってしまった。どう見てもあんまり嬉しくない顔である。
あとカウンターそばで丸まっている白黒猫も可愛いく、アメリカの子供がちょっと羨ましい。


日本にも、駅長の猫がいるくらいだから図書館員の猫がいてもいい気がする。
もしも近くの図書館に図書館ねこ(や犬)が存在したら、それ目当てに通ってしまいそうである。

 We wish you a Merry Christmas

もうじきクリスマスである。
イルミネーションで街が華やかになり、赤と緑の雑貨は可愛いく、誰かのために贈り物を選ぶ人の顔は優しく見える。


12月頃から至るところで流れるクリスマスソングも、割りに好きだったりする。子供の頃のクリスマスを思い出させるから。
この曲のように訳詩で歌われているものは当時聞いていた曲と同じで、よけい懐かしい(下の動画で視聴可能)。


年の瀬は何かと忙しく、浮かれる気持ちもいつのまにか薄れてしまったけれど、やはり良いクリスマスを過ごしたいものだなあと思う。

 図書館ねこデューイ 町を幸せにしたトラねこの物語

図書館ねこ デューイ  ―町を幸せにしたトラねこの物語 
米国スペンサー図書館にいた図書館ねこ、デューイ君の伝記。著者の女性は、デューイ君がいたスペンサー図書館の元館長にして親代わりでもあった。


デューイ君の描写だけに留まらず、彼がいた図書館や小さな町を取り巻く厳しい社会情勢、そんな中で司書として図書館のために奮闘する著者の姿、そして著者のプライベートで起こった幾つかの困難や苦しみも、平行して描かれている。


おそらく架空の物語であれば、一匹のトラねこが図書館にやってきて、皆に愛されて、ずっと幸せに暮らしました、で終わる。
しかしこの物語は著者の目を通しての現実であるから、たとえば最初に猫を図書館に迎え入れた時にヒステリックな抗議の手紙が届いたり、飼育にかかる費用はどうするのかという点についてや、年老いて衰えたデューイ君に対して時には厳しい目を向けられたり、といった描写もある。息を引き取る最後の描写も。


ただ、そうしたシビアな描写もあるからこそ、デューイ君が図書館と町にもたらしたものや、著者がデューイ君を愛し、守り通した(同時にデューイ君もまた著者を愛し、守った)姿にグッとくるのだと思う。
著者がエピローグで綴っている言葉に、彼女とデューイ君との関係がよくあらわされている。


そしてもちろん(猫好きな)読者の期待に応える数々のデューイ君の写真やその仕草・行動の描写もばっちり収められている。(猫好きの)読者のハートをわしづかみにすること請け合いである。


単なる記録ではなく読み物としても面白く、読み応えのある一冊だった。

 図書館ねこ その2

以前、米国のスペンサー公共図書館にいた猫デューイ君について書いたことがあるが、最近彼の伝記が発売された。
国会図書館発行のカレントアウェアネスでも取り上げられている。
http://current.ndl.go.jp/node/8526 
http://current.ndl.go.jp/node/8889
補足:http://current.ndl.go.jp/e574 ←デューイ君の訃報


書店でその本を見つけ、パラパラと拾い読みをして面白そうだったので購入。
正直に言うと、本の帯および巻頭にあるデューイ君のスナップにノックアウトされた感もある。それらの写真を見ると、長毛種の血が入っているのか、フッサフサで威厳すらある。しっぽに至ってはたぬきっぽい。
(読了していないので、本の感想は後日)


興味がわいて、図書館ねこ―すなわち図書館にいる猫(そのまんまだが)について調べてみたのだけれど、欧米では割りにポピュラーな存在のようである。
世界中で、過去現在合わせて数百匹の図書館ねこがいる。
参照→http://www.ironfrog.com/catsmap.html


日本にもいたらいいのにと思っていたら、上記サイトの「Asia」で登録されている3匹の図書館ねこのうち2匹は日本にいるそうな(のこり1匹はロシア)。
図書館名は「National Diet Library」、ちなみに猫の名前はHome-chanとDoro-chan。


国会図書館に猫がいるとは聞いたこともなかったのだが、よく利用する人や職員さんの間では周知の事実なのだろうか?
本当にいるなら、是非もっとアナウンスしてほしいと思う。

 『美女と竹林』刊行記念サイン会


京都の大垣書店で開催された、森見登美彦氏のサイン会に行った。


開始時刻の午後3時頃に森見氏が登場、それから1時間位して順番が回ってきた。


しかし待っている間に緊張してしまい、サインをしてもらっている間中何も言えず。
ほどなく氏がサインを書き終えられたので、お礼を言って、なんとか手紙だけ渡してその場を去った。


実際の森見氏は寡黙で、物腰の丁寧な人だなあという印象を受けた。殆ど何も言えなかったけれど、お会いできて良かったなと思えた。


書店で貰った「本が好き!」という小冊子には、竹林伐採中の森見氏の写真(カード?)が挟まれており、「来場感謝!」と書いてあった。
こちらこそ感謝!と思いつつ、記念にしようとそのまま挟んでおいた。
冊子にはインタビューも載っていたので、それにも目を通しながら、電車に揺られて帰った。

 ダ・ヴィンチ 10月号

ダヴィンチ 2008/10月号
表紙のスガシカオ氏と、森見登美彦氏のインタビューに惹かれて購入。


スガシカオ氏は今月発売の新アルバムについてと、村上春樹氏とのエピソードを中心にしたインタビュー。
村上春樹氏がCDを初めて聞いたときのことを『意味がなければスイングはない』で述べていたが、それをスガさん側から振り返っている。
また村上作品のファンでもあることから、作品の感想も語っている。この感想には共感するところが多かった。
私も村上作品は好きなのだが「たぶん意味がわかってないんですよ。物語の意味がね。(略)わかんないのに大好きなんですよ。」に、すごく同意してしまった。


そして新アルバムに関してと、デビュー10周年を迎えての心境も少し。
「人生を左右されるくらい音楽に影響を受けた頃の自分にメッセージを出したい」という言葉がいいなと思った。


森見登美彦氏は新刊『美女と竹林』のインタビューと、古典作品の紹介。
『美女と竹林』を読了したばかりだったこともあり面白いインタビューだったが、特にウケたのは森見氏が手にした竹(ポップ?)に書かれた「竹林におります。探さないで下さい」。なおこの竹は抽選で1名様にプレゼントとか。
あと本の帯にも書かれていた名台詞「俺は嫁を大事にする男だ」が好きだったので、明石氏が実際に言っていたと知ってちょっと笑ってしまった。


また森見氏による「ゾッとする古典」の紹介では、それぞれの作品を読んでみたくなった。
しかし洒落にならないくらい怖い話だったら(本は夜に読むことが多いので)どうしよ、という気持ちがなくもない。
幽霊や化け物の出てくるホラーより、謎めいて不安をかきたてるような怖さのほうに惹かれる気持ちに少し共感した。