スガシカオ

 ダ・ヴィンチ 10月号

表紙のスガシカオ氏と、森見登美彦氏のインタビューに惹かれて購入。 スガシカオ氏は今月発売の新アルバムについてと、村上春樹氏とのエピソードを中心にしたインタビュー。 村上春樹氏がCDを初めて聞いたときのことを『意味がなければスイングはない』で…

 SPIRIT

アップテンポなメロディで、夏のドライブ中に流すと気持ち良さそうな爽やかな曲。 勇気を出して新しい場所に飛び込んでいこうとしているような、割と前向きな「ぼく」の心情が綴られている。明るいメロディもあいまって、聴いているこちらも顔をあげて口ずさ…

 8月のセレナーデ

淡々としているが清涼感のある綺麗なメロディに、気の向くままに口ずさんだ独り言のような歌詞。夏の夜のBGMによく合う一曲。 「君」は多分「ぼく」の恋人だろうけれど、それにしては少々ドライである。 「もしも君がいなくなってしまったら たとえばネコ…

 サヨナラ

乾いた感じの、どちらかというと淡々としたメロディ。 にも関わらず、聞いていると妙に胸を締め付ける切なさがある曲。 互いに冷めてしまったことに気づかないフリを続けた挙句、ついに別れに踏み切る恋人同士のような状況が歌詞から浮かぶ。 それでいてまだ…

 クライマックス

自嘲気味なくらい明るいメロディと、自分を俯瞰で見ているような歌詞が印象的な失恋ソング。 「いまぼくはもしかすると 世間一般で言ういわゆる 『ふられてしまう』というクライマックスに遭遇している…?」 という冒頭は、恋人から別れを切り出されている「…

 Nobody knows

「君」と戻る場所を失った「僕」が、これまでの日々との決別を一歩引いた目線で綴ったような歌詞が印象的。(以下「」引用) 「さらば昨日までの口づけよ さらば愛しき胸の痛みよ」 と感傷に流れそうな冒頭から一転、 「まぁ それはそれとしてだ なんとか今…

タイムマシーン (『PARADE』収録)

もしタイムマシーンがあったらどうする?十数年ぶりに偶然出てきたCDをきっかけに、そんな想像をつらつらと歌った曲。(以下「」部分は引用) 「あの時好きだと言えなかったことかな…」 「あの日の許せない言葉と あいつら消そうか…」 なんてアレコレ考え…

 たとえば朝のバス停で (『4Flusher』収録)

昔の級友や先輩、恩師や元上司など、以前は毎日のように顔をあわせていたのに今は会うことも無い人たちは結構いる。 ときどき、あの人達はいったいどこに行ったんだろう?と思うことがある。 この歌はそんな「いつの間にか会わなくなった人達」への呟きのよ…

 お別れにむけて(『Family』収録)

ゆっくりとしたメロディに、ぽつりぽつりと呟く独り言のような歌詞。シンプルで淡々とした曲なのに、やけに切ない印象が残る。 タイトルはこれからの別れを連想させるが、すでに「ぼく」と「君」は別々の世界にいる。 「新しい世界」にいる「君」と、そこか…

 愛について

シンプルで温かい雰囲気のラブソング。日に日に空気が冷えて、澄んでいくような冬のはじめにはまる。 「ただ1つ 木枯らしに凍える日には かじかんだ手を温めてほしい」、冒頭からいいなと思う歌詞である。 この曲のイメージは、そのまま自分が思うところの…

 Go!Go! (『SMILE』収録)

困っている女の子の相談にのっていた「ぼく」の回想からなる曲。 いい感じに女の子との仲が深まったと思っていたら(「ぼく」にとっては)信じられないオチ。自分も守ってあげたいよな人には弱いので、なんだか人事に思えない。可笑しいが切なくもある歌詞で…

 グッド・バイ(『sweet』収録)

旅立つ「君」を空港で見送る歌。 空港までの二人の沈黙、搭乗ゲートの向こう側で一度振り返る「君」の姿、東の空に消える飛行機の翼の残像、これから続く別々の二人の暮らし。 通して聞いていると短編小説を読んでいるようである。 「君」が「ぼく」にとって…

 真夏の夜のユメ

落ち着いたメロディと、ハスキーな声で繰り出される影のある言葉たち。耳を澄ませていると、なんだか心がしんとする。 夜中にふと目が覚め、暗いベッドの中で寝返りを打っていると内省的な気分になることがある。 窓の外の闇は深く、人も草木も眠りに沈み、…

 黄金の月 

ほろ苦い呟きのような歌詞と、淡々と繰り返されるメロディが心に響く一曲。 ラジオで耳にするうちに気になり、スガシカオ氏にはまるキッカケになった曲でもある。(歌詞はこちら) この曲で歌われているように、たぶん自分も含め大抵の人が、容赦なく過ぎる…

 風の歌を聴け×夏陰

「夏陰」を聞いていて、ふと村上春樹氏の小説「風の歌を聴け」を思い出した。 全く別の作品だけれどBGMに合うように思える。 海に近い街を舞台に、過ぎ行く夏を切なくほろ苦いタッチで描いた「風の歌を聴け」は、夏になると読みたくなる物語である。 また、読…

 光の川(「TIME」、best盤収録)

ヘッドライトの光の川のなかで、束の間「君」を見かける。 でも何を言えるわけでもなく、再び遠ざかっていく。 そんな一瞬のすれ違いを歌った歌。 渋滞の最中に、他の車の助手席にいる「君」とゆっくりすれ違う。 そんな状況でも「見まちがうわけはない」人…

 桜並木(『Smile』に収録)

最近、風に花の匂いを感じることがある。春が近づいているのだろう。 春はいつも、浮き足立つような憂鬱なような、淋しいようなワクワクするような複雑な気持ちになる。 新しい学校やクラス、新社会人になった時など、生活がいっぺんに新しくなった時のドキ…

 ユビキリ(『sugerless』所収)

守れなかった約束を思い、その相手へ語りかけるような歌。 静かで綺麗なメロディと独特の掠れた声が、より切なさを盛り上げる。 「校舎」「プール」「帰り道」といった歌詞の断片が、どこかノスタルジーを誘う。 子供の頃には、ときどき友達や家族と指きりを…

 夏陰 

タイトル通り、静かな曲調と陰影に富んだ歌詞から、夏の終わりの少しさびしいような雰囲気が味わえる。 スガシカオ氏の書く歌詞は、ドキッとする言葉を挟みつつ、心にすっと入り込んでくる。 聞き手に考えを押し付けない、小さな呟きのような、それでいてほ…