クライマックス

自嘲気味なくらい明るいメロディと、自分を俯瞰で見ているような歌詞が印象的な失恋ソング。


「いまぼくはもしかすると 世間一般で言ういわゆる
 『ふられてしまう』というクライマックスに遭遇している…?」
という冒頭は、恋人から別れを切り出されている「ぼく」の心の呟きだろうが、ショッキングな場面で妙に頭の中が冷めてしまう時の感じがよく現れている。


「ずっと友達でいよう」とか「今までありがとう」なんていうやりとりに、白々しさを感じずにいられない「ぼく」もリアルである。あとに続く「世界中のやけくそは きっとこんな風に生まれてしまう」も。


「青春ってこんなもんかって 目を閉じて考えてた」なんてくだりも、そういうことってあるよな、としみじみ共感した。


「ぼく」はまるで自分の失恋を人事みたいに眺めているようだが、最後のあたりの歌詞など、それなりにちゃんと?傷ついている心情も伺える。ただそれも、悲しみに溺れている印象ではないけれど。バックのホーンセッションも陽気ですらあるが、こういう美しくて切ないだけではない失恋ソングも、いいなと思う。


ちなみに、スガシカオ氏は「自分を捨てた女なんか雷に当たって死ねばいい」というようなことを雑誌の対談で言っていて、その本音っぷりに吹いた。こんな歌を作れるだけのことはある。下はこの曲のPV。