2007-01-01から1ヶ月間の記事一覧

 村上朝日堂

村上春樹氏の最初のエッセイ集。 テイストは異なるが、小説と甲乙つけがたいほど好きである。 妙に味があって、肩の力が抜けるほのぼのさがある。 1980年代前半に連載されたそうだが、今読んでも充分面白い。特に好きな話を。 聖バレンタイン・デーの切り干し…

ブラック・ジャック / 手塚治虫

主人公のブラックジャック(以下BJ)はいかにもな善人でもなく根っからの悪人でもない、その匙加減が絶妙。彼の良きパートナー・ピノコもとても可愛い。BJがピノコに見せる父性的で人間臭い面がまた良いと思う。特に印象的で好きな回を。 「ときには真珠のよ…

 トニー滝谷 / 監督 市川隼

村上春樹氏の短編小説(『レキシントンの幽霊』所収)の映画化。 原作が好きで見たが良かった。小さく流れる音楽も美しい。 小説も淡々としたお話だけれど、この映画も実に淡々としている。 でも妙に印象に残る作品である。 たとえば時々、俳優がナレーショ…

 コナコナチョウチョウ / 望月花梨

少年少女を時にダークに、時に官能的に描く望月氏の持ち味を堪能できる、初期作品集の表題作。 初読の時は主人公と同じ年頃で共感したが、今読むと懐かしい気持ちになる。 一方で未だに、この作品の雰囲気にちょっとドキドキする。 特に主人公が放課後、チロ…

 IN MY LIFE (『1962-1964』収録)

静かで穏やかなメロディと、過去への思いと現在の大切な人への気持ちを歌った詞が印象的。 このアルバムを手に取ったのは村上春樹氏の小説『ノルウェイの森』がきっかけだった。 ややクセのある「ノルウェイの森」も良かったが、個人的にはこの曲のほうが小…

 本当はちがうんだ日記 

歌人の穂村弘氏が描く、ちょっと不思議で力の抜けた日常のあれこれ。 本書で特に好きな話を。 愛の暴走族 自分の留守中、元恋人が合鍵でこっそり自室に入って金魚のえさだけ足して帰っていったという話を始め、愛ゆえの暴走例が幾つか紹介されている。 可笑…

 なくしてしまった魔法の時間

美しい日本語で語られる、少し不思議で懐かしい童話集。 安房直子氏のコレクション全7冊の1巻で、比較的初期の作品を収録。収録作品の中から、特に好きな話を。 きつねの窓 山で道に迷った「ぼく」が、一面の桔梗の花畑の中に「そめもの、ききょう屋」を見つ…

 センセイの鞄

ツキコさんとセンセイが共有するふわふわした時間と、淡く美しい四季の描写が心地よい。 穏やかで少し切ない、大人の恋を描いた一冊。 真面目で温和で礼儀正しく、元教え子にも敬語を使うセンセイがいい。 古き良き時代の教師、といった風情があり、古風で上…

 図書館ねこ

欧米図書館で広報も勤めた猫デューイ君(実話)。国立国会図書館HPの「図書館に関する調査・研究情報」として記載。詳細はこちら。 フジモトマサル氏のHPでこの件を知った。 同氏の作品で「猫の図書館」という司書も利用者も猫というイラストがあって、…

 お迎えです。/ 田中メカ

「お迎え」を行う極楽送迎(GSG)社員、社員にスカウトされた主人公のバイト大学生と、彼らが出会う死者たちをオムニバス形式で描く。 コメディなのだけれど、ちょっと切なくて良いモノローグが幾つも出てくる、あたたかいストーリー。 ゲストの幽霊たち…

 海辺のカフカ

家出をした15歳の少年が様々な人々に出会い、小さな図書館に身を寄せ、恋を知り、ある森へも足を踏み入れる。 幾つもの謎(或いは仮説)や、平行して進む星野青年やナカタさんのストーリーなど、引き込まれる面白さがある。 印象的だったのは「佐伯さん」。 …

 ユビキリ(『sugerless』所収)

守れなかった約束を思い、その相手へ語りかけるような歌。 静かで綺麗なメロディと独特の掠れた声が、より切なさを盛り上げる。 「校舎」「プール」「帰り道」といった歌詞の断片が、どこかノスタルジーを誘う。 子供の頃には、ときどき友達や家族と指きりを…

 ないもの、あります

よく耳にするけど見たことは無い。 そんな「ないもの」たちを披露し、読者の手元へ贈る一冊。 特にストーリーはないがウイットのきいた文とイラストに思わずにやりとさせられ、楽しんで読める。 気になった「ないもの」を。 相槌 3種類あり、大は「まったく…

 魔法のコトバ

初恋のようなイメージの可愛いラヴソング。 聴いていると、恋をしている時、特に誰かを好きになったばかりの頃はこんな感じだなあと思う。 片思いのようにも、付き合い始めたばかりの二人のようにも見える。いずれにしても恋のはじまりの感じがよく伝わって…

1月1日付の朝日新聞で、作家村上春樹氏の記事有り。顔写真つきで、メールによる取材らしい。 新作が出るたびに世界中で評が書かれることや、ターニングポイントとなった作品(『ねじまき鳥クロニクル』『アンダーグラウンド』)について、少々語っておられた…