ないもの、あります

ないもの、あります
よく耳にするけど見たことは無い。
そんな「ないもの」たちを披露し、読者の手元へ贈る一冊。
特にストーリーはないがウイットのきいた文とイラストに思わずにやりとさせられ、楽しんで読める。
気になった「ないもの」を。

  • 相槌

3種類あり、大は「まったくそのとおり」中は「そうですね」小は「まあね」。
打ち所を間違えると「友情」や「愛情」が打ち砕かれる、というのに納得。
相槌がうまく聞き上手な人は男女問わず素敵だが、自分もまっさらなやつを貰って研鑽を積みたいものである。

  • 口車

舌先三寸で転がす商品。
小悪党の客向けで、大悪党の客には姉妹品「口封じ」。
あまりうまくなりすぎて「芸術」にならないように、とあるが実際並外れて口がうまいというのはある種の才能である。
この商品は他人を乗せて初めて意味があるが、自分のように口下手だと使いこなせない気がする。


中身に加えて、この本は装丁もちょっと凝っている。
私は時々本の帯がどこかにいってしまうことがあるのだけれど、この本はまず大丈夫である。
装丁も手がけているだけあって、洒落た本作りもクラフト・エヴィング商會の大きな魅力だと思う。