村上朝日堂


村上春樹氏の最初のエッセイ集。
テイストは異なるが、小説と甲乙つけがたいほど好きである。
妙に味があって、肩の力が抜けるほのぼのさがある。
1980年代前半に連載されたそうだが、今読んでも充分面白い。特に好きな話を。

  • 聖バレンタイン・デーの切り干し大根

夕方、台所で切干大根や味噌汁を作りつつ、今日はバレンタイン・デーではないか?と気付く村上氏。
「女房でさえ『バレンタイン・デー?へえ』と言って僕の作った切り干し大根を黙々と食べている」に受けた。
あと「黄昏」のヘンリー・フォンダはどんな役柄なのかとこの話を読むたび思う。
このままだといつか…と書いているが、20年以上たった今はどんなバレンタインを過ごされているのだろうか。


本作より村上朝日堂はシリーズ化している(下)が、いずれも面白かった。
ただ現在エッセイ集は「村上ラヂオ」(同下)以来刊行されておらず、残念ながら新作は気長に待つしかないようである。(そういえば、読者のメールへの回答で、しばらくエッセイ集は出ないということとその理由を述べておられた。)
村上朝日堂の逆襲 (新潮文庫)
村上朝日堂はいかにして鍛えられたか (新潮文庫)

村上朝日堂ジャーナル うずまき猫のみつけかた (新潮文庫)
村上ラヂオ