千と千尋の神隠し / 監督 宮崎駿

千と千尋の神隠し (通常版) [DVD]
主人公の千尋が迷い込む世界は、なんとなく懐かしい。


油屋の外観もノスタルジックである。
あと電車で銭婆のところへ出かけていくシーンが音楽も映像もすごく好きなのだが、一面の海を渡り、黒い人影が見える駅を通過する電車には不思議なデジャブを覚える。


千尋とハクの恋のような友情のような絆も良い。ふたりが別れる場面は切ないけれど。


異界の食べ物を口にしたら姿が変わって戻れなくなるとか、元の世界に戻る時振り向いてはいけないとか、古い神話や伝説にみられるような設定がある。
名前を奪われると身が拘束されるというのも、古代では言霊信仰のため人々は真名を知られるのを避けていたことを思い出す。
思い巡らすとなかなか面白い。


印象的な台詞も多い。銭婆の「一度あったことは忘れないよ。思い出せないだけで。」という台詞が一番印象的だった。


最後は唐突な終わり方であるが、個人的には好きである。
千尋は不思議な世界のことを覚えているのかどうかよく分からないが、光る髪留めが夢ではなかったことを教えてくれる。


他にも幾つもの謎が特に説明もされないまま終わるが、それも色々な捉え方が出来て楽しいと思う。