コナコナチョウチョウ / 望月花梨

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少年少女を時にダークに、時に官能的に描く望月氏の持ち味を堪能できる、初期作品集の表題作。


初読の時は主人公と同じ年頃で共感したが、今読むと懐かしい気持ちになる。
一方で未だに、この作品の雰囲気にちょっとドキドキする。


特に主人公が放課後、チロというクラスメイトの男の子へ恋心をぶつけ、なりゆきで女子トイレに一緒に隠れて朝を迎えるところ。
「…『健全な学び舎』。校歌は大嘘つきだなあ… 
 今の学校には『健全』より
 『官能』の文字の方が似合っているのに…」
といった意味深なモノローグが重なるだけで具体的な描写はないが、下手に露骨なものより色気を感じる。


他作品も好きで、お気に入りの漫画家である。ダークで毒があり、それでいて透明感がある作風に惹かれる。絵柄はあっさりして見やすいが、印象的なシーンも多い。


登場人物も清楚で可愛らしく、どこか文学的なタイトルやモノローグも良い。
岩井俊二氏の映画にちょっと近い雰囲気があるかもしれない。ここ2・3年、作品があまり発表されていないのが残念である。