風の歌を聴け×夏陰

奇跡/夏陰/サナギ
風の歌を聴け (講談社文庫)
夏陰」を聞いていて、ふと村上春樹氏の小説「風の歌を聴け」を思い出した。
全く別の作品だけれどBGMに合うように思える。


海に近い街を舞台に、過ぎ行く夏を切なくほろ苦いタッチで描いた「風の歌を聴け」は、夏になると読みたくなる物語である。
また、読むと自分の過ぎ去った夏を思い出す。たとえば学生時代最後の夏休み。
よく似た思い出があるというわけではないのだが、当時の風景や少しだけ感傷的な気分でいたことなどが自然と思い出される。


小説の最後、年齢を重ねた主人公の後日談がよい。
街を再び訪れた主人公が、かつて歩いた道を歩き、泣きたいときには涙は出ないものだと思うくだりが印象的で切ない。
それは「夏陰」の「ずっと今日と同じ日々が 願わなくても続くと思ってた」というフレーズを聴いた時に喚起される切なさに、少し似ている。


ちなみに村上春樹氏は下記の音楽評論集でスガシカオ氏を取り上げ、かなり詳しく論じている(ファンなのだそうだ)。こちらも読み応えがあって面白かった。
意味がなければスイングはない