夏陰 

奇跡/夏陰/サナギ
タイトル通り、静かな曲調と陰影に富んだ歌詞から、夏の終わりの少しさびしいような雰囲気が味わえる。


スガシカオ氏の書く歌詞は、ドキッとする言葉を挟みつつ、心にすっと入り込んでくる。
聞き手に考えを押し付けない、小さな呟きのような、それでいてほろ苦かったり後ろ暗かったりする共感を呼ぶ歌詞だと思う。
独特のハスキーな声がその良さをさらに引き立てるが、特にバラードではより切ない感じがする。


この夏陰もまた、そんな一曲である。
「今日と同じ日々が 願わなくても 続くと思ってた」
なんて歌詞から、「夏の終わり」を歌いつつ、それに人生のある時期の終わりを重ねている雰囲気を感じる。


「ため息をぐっと飲み込んで 歩き出そう」とか
「ぼくらが生きてく理由なんて きっとちっぽけな答えしかないって気がするんだ」
「走り出してしまったぼくらに いまさら 
 もうわざとらしいゴールなんてなくてもいい」
など、前向きさと後ろ向きさが入り混じる歌詞も味わいがあっていい。


昨夏繰り返し聞いたので、自分の夏の記憶も染み込んでしまった。