野性時代 11月号



特集「最愛の一冊と至福の読書空間」がよかった。
タイトル通り数人の作家が、最愛の一冊とお気に入りの読書空間を写真つきで紹介している。


素敵だなと感じたのは、恩田陸氏。
照明の落とされた静かなホテルのバーで、本に目を落とす姿にちょっと憧れた。
小川洋子氏のように、清潔で明るいホテルのロビーでひとり、想像の世界に旅に出るのもよさそう。
堀江敏幸氏の昼下がりの公園のベンチで、というのもほのぼのと和めそうである。
そういえば夏の古本市に行った後、買ったばかりの本を鴨川のベンチで暫し読みふけったけれど、似た感じかもしれない。日差しのもと風に吹かれて読む本も、案外いいものだった。
共感したのは桐野夏生氏。自宅のベッドの上、自分もたいていそうなので。


しかしホテル、公園、レストラン、電車内…と読書空間として自宅以外を挙げている人が多いのが少し驚いた。自宅は普段で、とっておきの場所となると別の場所になってくるのだろうか。


またスナップとして添えられている読書姿の写真が、いずれも味があって良い。


もともと男女問わず本を読んでいる姿には弱く、魅力的に見えるのだけれど。
「本を読んでる君が好き」という書店で見かけたコピーを思い出した。


それぞれの最愛の一冊も、各作家の好みが垣間見えて面白かった。