ワンダフルライフ / 監督 是枝裕和
これまでの人生の中から、思い出をひとつだけ選ぶとしたら・・・思い出を語る人々が印象的で、静かな映像が心に染みる作品。
古い病院のような施設で、死者たちは生前の思い出を三日以内にひとつ選んでください、と職員に告げられる。
不思議な設定の物語だが、静かに淡々と物語は進む。
死者も生前と変わりない姿で、職員も本当に団体職員のようである。
舞台となる建物は時が止まったようで、昔の町外れを思わせるような風情がある。季節が冬なのもよく合っているように感じた。
そして、登場する人々の生き生きと思い出を語る姿はとても印象的である。
色々な良い思い出が語られ、まさに人に歴史ありとしみじみ思う。
語る人は時に年齢と名前が紹介され、ドキュメンタリーのようである。
というか実際に、この映画で思い出を語る人々のうち半分くらいは、一般の方々が台本ではなく実際の自分の思い出を記憶を辿って語っているそうだ。
自然というかリアルな感じがするのも納得。
この映画を見るといつも、つい自分ならどの思い出を選ぼうかと考えてしまう。
過去をゆっくりと回想するきっかけをくれる作品である。