じつは、わたくしこういうものです

じつは、わたくしこういうものです
月光密売人、秒針音楽師、時間管理人、冷水塔守・・・ちょっと不思議な19人の職業人たちが写真つきで登場し、それぞれの仕事について語る。


特に惹かれたのは「時間管理人」。
この人は沢山の人の時間=思い出を預かって、鍵をかけて保管している。
そうするとその時間はどこにもいかず、ずっとそこにある。
思い出の持ち主が死んでも。


自分ならどの思い出を預けようか?とつい考えてしまった。


最後に「じつは、わたくし本当はこういうものです」という章があり、これについては意見が分かれるかもしれない。自分は意外な面白さが増してよかった。


クラフト・エヴィング商會の本が持つ独特の魅力を、一言で説明するのは難しい。
ただとてもいいなと思える雰囲気がある。
ウィットに富んだ文体も、凝った演出も、装丁デザインも全て含めて。この本も実に彼ららしい本だと思う。