きのう何食べた? / よしながふみ

きのう何食べた?(1) (モーニング KC)
弁護士の筧史郎が作る料理を中心に、彼の同居の恋人や同僚、両親、依頼人といった人々を含めた人間模様を描くオムニバス作品。


主役たちはゲイカップルだが、ラブシーンもなく淡々として読みやすいと思った。
人間関係の描写はさらりと、そのぶん(?)料理の描写は結構詳しい感じ。
さりげなく印象的な台詞が出てくるのは他作品同様だが。
筧史郎ことシロさんの不自然な若さと美貌、およびシロさんの母親の空回りした理解者ぶりがちょっと可笑しい。


登場する献立はお家の夕ご飯にちょうど良い感じ。あまりに難しそうなものはなく、それでいて美味しそう。たとえばある日の献立は
「さんまの塩焼き(大根おろし添え)、なめことみつばのお味噌汁、
栗ご飯、ほうれん草の胡麻和え、きゅうりとなすの浅漬け」。
レシピ本としても良いかも。男二人で食費は月25000円以内、という前提のメニューのため結構経済的。


また「料理をしてると無心になれるじゃない?」とか、出来た料理を見て「ひとつの案件を終えたような達成感」という言葉にちょっと共感した。
よほど失敗しない限り食べて幸せな気持ちにもなれるし、料理は気分転換に案外いいのかもしれない。