ここに収められた12冊のささやかな本たちは、いずれも休憩時間に飲む一杯の紅茶のような印象である。
ほんの少しの時間、文章に目を走らせるだけで、ゆったりとした気持ちを取り戻させてくれる。
フジモトマサル氏の「寄贈本」が特によかった。
猫の利用者たちと猫の司書がいる図書館での不思議なお話なのだが、かわいい絵に油断していると、少々ブラックな展開を見せる。
静かに時を刻んでいる図書館には、なんとなくこういうこともありそうな雰囲気がある。
ストーリーは違うけれど、村上春樹氏の「図書館奇譚」を少し思い出した。
何の変哲も無い図書館の片隅で、秘密の出来事が進行している・・・という感じが似ている気がして。