夜は短し歩けよ乙女 / 琴音らんまる

夜は短し歩けよ乙女 第1集 (角川コミックス・エース 162-2)
森見登美彦氏の同タイトル小説を漫画化した作品。


小説同様四章に分かれているが、こちらは一章・二章(前後編)が原作の第一章にあたり、三章・四章は原作にないオリジナル・ストーリーとなっている。
時間設定も小説は1冊で春夏秋冬と進むが、こちらは1冊分で春〜梅雨までである。


原作が好きで手にとったので、どうしても比較してしまうが、人物のイメージは結構ぴったりである。
また樋口さんが空中浮揚したり、三階建ての電車が現れる場面など、小説ではおぼろげにこんな感じかなあと思い浮べていた場面を絵で見るのも楽しかった。
ただ、独特の古風な文体の醸す雰囲気はやや薄れているかもしれない。
漫画だからか、冒頭からハイテンションである。


でもこちらはこちらでいいなあと思える。
森見氏がブログで(2回も)言っている通り、とても可愛らしく仕上がっている。


特に「乙女」が可愛い。
絵的にも、行動的にも。四章の最後近く、傘を手にしての場面ではキュンとした。


ちなみにこちらの「私」も、見た目は割と男前。
しかし笑いを誘う役回りはそのまんまである。
四章の傘にまつわるたくらみは漫画のオリジナルだが、いかにも「私」が考えつきそうでちょっと笑えた。
あと三章で、二人の出会いと「大丈夫」という言葉に「私」が思いを馳せる場面は少しじんときた。


第一集となっているので、以下続刊なのだろう。
原作の続きの章、夏の古本市や学園祭、京都が風邪の街となった最終章がどのようになるのか、楽しみである。